作品9 象牙彫刻画『大洋のフリゲート艦』 G.シュテファニー& J.ドレッシュ作 (署名入り)
大砲を装えたフリゲート艦が描かれた精細な象牙の彫刻画には、“Stephany & Dresch”の署名が入っています。この帆船のモチーフは、1790年代にロンドンのロイヤル・アカデミー・オブ・アーツに展示されたなかでも、もっとも反響を呼んだ作品に数えられます。大洋に向かって帆を張り進むフリゲート艦は、時を超えた美しさです。船上に描かれた8人のうちの1人は、シュラウドを上っていくところで、もう一人の水夫はすでに一番高いところにあるヤードの1つに腰をかけ、帆を出そうとしています。帆と風に翻るマストの旗は極めて薄く、まるで絹のようだとされています。また、ほとんど透けて見えるのが、船長室の窓で、光の当て方によっては反射するガラスのように見えます。 帆以外にはほとんど見てとることのできない遠方のボートの他にも、2艘の帆船が描かれています。そのうちのフリゲート艦の船尾に近い方には2人の男が座っています。
海は、段状に配置され、細長く波を形どった薄い象牙で表現されています。この作品には2つの裂け目があります。こういった裂け目は、長く、素材を極度に薄く彫り上げている古い象牙作品のほとんど全てに見られます。 彫刻画下の縁の部分、波のところには“Stephany & Dresch”の署名が入れられていますが、これがなかったとしても、この作品がマイクロ彫刻画の専門芸術家、G.シュテファニーとJ.ドレッシュのものであることが明かに分かります。
ドイツ、アウグスブルクの彫刻家G. シュテファニー (例えば、G. K.ナーグラー著『芸術家事典』17巻326頁) と、同じくドイツ出身のパートナー、J.ドレッシュは、1970年代、ロンドンで‐夏の数ヶ月は大抵優雅な保養地バースで‐作品を制作しました。(参考文献 G. R. スタントン210-212頁)。彼らのマイクロ彫刻画は、その想像を絶した繊細さから「奇跡の作」とされました。英国王ジョージ3世自らが、この両芸術家の彫刻作品に魅せられ、両彫刻家に”Sculptors in Miniature on Ivory to their Majesties (英国王室のミニアチュア象牙彫刻家)“という称号を授けたのでした。
両宮廷彫刻家の、ごく詳細までもらさず描いた帆船のテーマは、1791年にはじめて、ロンドンのロイヤル・アカデミー・オブ・アーツで『一艘のフリゲート艦』というタイトルをつけて展示されました。その後、数年にわたって、両彫刻家の作品、合計12点が展示されました。この華麗なフリゲート艦がロンドンの芸術愛好家や珍品収集家の間で大きな反響を呼んだため、このモチーフはその後、受注制作において、様々な大きさで繰り返し使われました。
伝えられているところによると、当時、非常に有名だった両宮廷彫刻家はかなりの財産家だったそうです。というのも、愛好家がその稀に繊細な象牙彫刻に競い合って高い値をつけ、その1作品を手に入れるために“高額“を支払ったからだそうです。
背景がダークブルーのガラス(ブリストル産ガラス)の彫刻画は、 9.0 x 26.0 cm の縦長の楕円形の箱枠に入れられています。これが0.6 cm幅の金メッキの施された真鍮枠によって、写真枠のように彫刻画を囲む黒く磨かれた木製のカバーへ固定されています。一部金泊の張らた縦長の長方形の枠は、木製で20.0 x 17.5 cmの大きさです。
作品の写真は次に載せられています: P.W.ハルトマン著『象牙芸術』写真92 ; 同著者『マイクロ彫刻画‐彫刻芸術の奇跡』写真9 (英語版も出版されています); URL: www.beyars.com
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